『ほし柿ゴルフ』を倍楽しむ

今日はスペシャル編であります。

わが父が1990年ごろ、函館の某財界誌に執筆した名(迷)エッセイであります。
(このエッセイが大評判となり、その後父の会社は大いに潤ったとか)

敬意を表して、インターネットで世界に公開でございます。

ユーモアこそ、明日へのエネルギー。 ゴルフは、爆発だ!(笑)



---------------------原文掲載(テキスト起こし:よっちゃん、校正:母)



『ほし柿ゴルフ』を倍楽しむ

-人の世に遊びをせんとぞ生まれけん-

○○空輸函館支店長

H.K.



生後初めてゴルフコースに出たのは、昭和三十九年。弱冠二十四才の夏である。従ってゴルフ暦は二十六年余。四半世紀を越える。
自慢であるが、ゴルフが下手である。
原因は、二つある。
一つは、親切にも最初の手ほどきをしてくれた大先輩(特に名を秘す)が、後で知ったのだが、実は下手だったからである。すべからく指導者(コーチ)というものは技量抜群でなければならない。人に教えるどころかダボペースを守るのも大童な人間が、ズプシロを“指導”していたとは知らなんだ。天才なら別かも知れないが「出藍の誉れ」なんて奇跡にもありえない。何事も最初が肝心! 結局はぼくのゴルフは「ほし柿・ゴルフ」になってしまった。すなわち「ヘタなりにかたまってしまった」のである。

原因のその二。これは専ら自分の責任に帰すのであるが、練習をしないからである。あらゆるスポーツにおいて、練習をしないで巧くなった、という話は聞いた試しがない。他のスポーツ、鉄棒とか、スキー、水泳においては才能が無いのが解っているので、人に倍して結構猛練習をした。だからある程度は上手にもなった。にもかかわらずゴルフだけは練習しない。いつもイキナリ本番でコースに出る。謝国権だって「イキナリは良くない」と言っているのに……。

プレーが終って家に帰ると即押入れにバックをしまってしまい次回まで見向きもしない。謝国権先生流に言えば「前戯も後戯もない。」
次回コースに出てバックを開けるとクラブに泥がついたままだったり、ボールが入っていなかったりすること多々である。

OB、池ポチャ、ロストボールという災難に見舞われずラウンドしきることはめったにない。そのたびに、「嗚呼、ぼくはどうしてこんなに下手なんだろう!」と天を仰いで嘆くぼくを見かねて、ある人が言った「あなた練習してます?」「練習!?全然」と正直にぼく。-普通ならここで「練習もしないで巧くなるわけないだろう!」と馬鹿にされるのがオチであるが、その人は偉かったなあ。
「そうですか。いいですねェ。練習しないで100を切れるんですから。練習したら凄く巧くなりますよ。」

ぼくはこれですっかり気分を良くしてしまったんだなァ。そうか、ぼくだって練習すれば巧くなるんだ。ではその十二分の可能性をこの先もじっくり暖めて楽しもう、とますます練習しなくなった。

下手ゴルフでもゴルフは嫌いでない。それどころか楽しい。何が楽しいか、というとスコアを競うゲームそのものより、広大な美しいグリーンの世界で交わすパートナーとの会話である。気心の知れた仲間とワイワイ冗談を言い合いながら、にぎやかにラウンドするのがこよなく好きなのである。人間的触れ合いの楽しさだ。

考えてみると、色々なスポーツの中で、ゴルフほど親睦と会話を楽しめるスポーツは少ない。マラソン選手はムツッとして走っている。水泳の競技中に会話なんかしたら水を飲んでおぼれてしまう。相撲とりは身体こそくっつけあっているが、「今晩一杯どう?」などとヒソヒソ話しなどしないでりきみかえっている。概してスポーツはそれをやっている最中、人は孤独である。

ゴルフは、そこが違う。だからコースは緑の社交場と言われるのだろう。
ついでに、プレー中にタバコをふかしたり、茶屋でビールをあおったりする。ニコチンやアルコールにまみれてやるスポーツが他にあったら教えてほしい。おそらく、ない。

自分でパートナーを選べないコンペティションなどでは、時折ムスッとしてスコアメイクに集中する人と組み合わされることがある。(まだ函館ではないけど)そういう人はたいていシングル・ハンディキャッパーでシャクにさわるほどゴルフが巧い。ついでにマナーにもうるさい。冗談でも言おうものなら叱り飛ばされそうである。そういう人に「ナイス・ボギー」と言ってジロッとにらまれたこともある。ぼくなんかボギーだったら、ありがたやありがたやであるが、常にパーか、バーディを目ざしている人には、ボギーはしくじりの結果なのだろう。そういう人種の違うゴルファーとまわっても面白くも何ともない。最終ホールまで忍の一字である。人心を理解しない不粋な奴、と腹の中で馬鹿にする。

パートナーはスポーツマンらしく明るく、冗談好きの人がいい。楽しさが倍加する。
札幌にいた頃、よく一緒した初老の某先生はユーモアセンス抜群であった。
どうもパーが取れずボギーが続くと「今日の私はカサブランカ・ダンディーだ」と言う。
何の事かと思うと、沢田研二の歌である。
「ボギー、ボギー、ボギー……」そう言えば、そういう歌があったなァ。
ぼくがスライス、ひっかけの連発でコース外ばかり歩いていると「田舎の医者ですなァ」とおっしゃる。心は「山の中ばかり歩いている。」木下さん、林さん、森さんはよく聞くが「田舎の医者」という言い方もあるのか、と感心した。

八ッで上ると「タコ」、十は「イカ」、十一は「イレブンPM」は誰もが知るところであるが、先生は、ぼくがあるホールで十で上ったら「夜中の電報ですか」と笑われる。
「エッ?」と聞き返すと「夜中の電報はデンポーデンポーと戸をたたくでしょう。戸たたき。すなわち十(とを)たたき」と解説して下さった。これはなかなかヒネリが効いていて気に入ってしまった。以来、これが言いたくて常にパートナーの誰かが、何とか十たたいてくれないものか、と切に願いつつラウンドしている。そしてたいてい自分が十たたきをやる。

札幌全日空ホテルの山崎販売部長は、ティーショットでフライを打ってしまうと、「小林旭だ!」と叫ぶ。ひばり殺し、というわけだ。もっとも小林旭と別れた美空ひばりは別の病でなくなってしまったけど-。

今は弊社の大阪支店長をしている井上取締役は札幌支店長時代、OBを出すと欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーバー」を替え歌で唄い出す。その文句がふるっている。

“タマ・イズ・オービー~~~~。
わけなどないよ~~~~。
ただひとつだけ~~~~。
あなたがへたあ~~~~。”

OBを出しただけで、カッと頭に血が昇っているこちとらは、この歌を朗々と唄われると、またまたOBを連発してしまう。そのうち手持ちのボールが残り少なくなってくる。すると次の文句でトドメを刺すのである。

“おわりにしよう~~~~タマがないから~~~~。”

知る人ぞ知る知らない人は知らないある一流企業の重役さんは、人格いやしからぬ穀然とした紳士である。ゴルフプレイ中もめったに冗談を言わないが、ここ一番決めねばならないパットを迎えると、突然「美女の股ぐら!!」と叫んで気合をかける。ナンダナンダ!?とビックリしたが、その意味は聞くまでもなかった。「是が非でも入れたい!」
(アナタハワカリマスカ?)

函館に転勤して、ラウンドした多くのパートナーの中の傑人は、我が親友たる某バス会社の某支店長である。(特に名を伏し、あえて言わないが、東海林さだお流にヒントだけさし上げると、バス会社は三文字で上が「ホ」下が「ト」まん中が「ク」である。支店長の名は、やはり三文字で、上が「フ」下が「イ」まん中が「ジ」である。)
ゴルフは本チャンのシングルで、目がさめるほど巧い。それでいてヒョウヒョウとして口にする冗談が、実にセクシーでユニークだ。

すまぁした顔で、「キャディさん。ペッティング・ウェッジちょうだい」と言う。勿論ピッチング・ウェッジのことである。キャディさんもヘルメットの中で笑いをこらえるのが大変。六番アイアンを「セックスアイアン」と言うのは当たり前。
ロングパットが見ん事カップのど真中に沈むと「わあー、ド・オマンナカから入った」と喜ぶ。何だかわからんが、何だかおかしい。

オーナーになったパートナーに「オナニーやって下さい」と少おしイントネーションを変えた言い方をする。久し振りにオーナーになった者は、これで思わずチョロッてしまう。すると「飛ばないあなたって嫌い」と追い打ちをかける。話が出来すぎているのである。

首尾よくグリーンにオン。ファーストパットがスルスルとカップのすぐそば、ワングリップ以内に寄ると「ホーケーボール!」とすかさず声をかける。確か、本当は「OKボール」と言うはずだが……。

ホールアウト後、カードにスコアをつけ合うときボギーのことを「ボッキ」と詰めて発音する。ついつられて、こちとらも「ぼく、ダブルボッキ」と言ってしまう。「朝晩ですか?」等と変な感心のしかたをしてみせる。
そのうち、トリプルボギーは「精力絶倫」という新造語になるのではあるまいか。すなわち朝・昼・晩と三回ボッキ。

この人の頭の中はどうなっているのかなァ、と思ってしまう。
先日、弊社の若狭会長が、絶倫和尚の今東光に逢って聞いた話をしてくれた。今東光は病気で大手術をしたところ、どこのどの内臓を切り取られたのか、術後あっちの方が全然ダメになった、と述懐したそうである。若狭会長が、「そりゃあ気が楽になりましたなァ」と言ったら、和尚いわく「とんでもない!それからというもの考えることは朝から晩まであのことばっかりで、頭の中が一杯だ。」
と真顔で話していたそうである。

くだんの某バス会社某支店長が、ゴルフのプレー中にも性的関心が強いのを見ているとついその話しを思い出してしまう。まさか四六時中あのことを考える今東光的傾向にあるとは思われないが-。でも、いつか一度質してみたいような気がしないでもない。

人の世に遊びをせんとぞ生まれけん

プロでもない限り、所詮ゴルフは遊びである。しかし生きる歓びは遊びの中にこそあり。
“ヘタなりにかたまったほし柿ゴルフ”をおおいにふくらませて人生を楽しんでいる。





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Secre

No title

干し柿ゴルフ理論・・楽しんで読ませていただきました。
さすがに、お父君の眼力は素晴らしいですね。ゴルフの楽しみ方を分かってらっしゃる・・。脱毛、あ、いや・・脱帽です!<(_ _)>

No title

小次郎パパさん

長文ご覧いただきありがとうございます m(__)m
こんなに親父が下ネタを全開だったとは知りませんでした。

しかし本人いわく「俺が言ったんじゃない、人が言っているのを”記録”しただけ」だそうです(笑)

ゴルフ場は象さんだらけ♪

いやぁ…実に面白い読み物で一気に読み倒してしまいました♪
この御父様のユーモアがJKさんに引き継がれているのですね(笑)

ウチの父もプレー中に良く駄洒落を言っていましたが、ゴルフほど冗談に満ち溢れたスポーツはないですね♪

という訳で明日はその父とラウンドをして来ます…何かネタをしこもうかな?(笑)

No title

いおた。さん

読んでいただいてありがとうございます   m(__)m
親子ラウンド、いいですね~。ブログ楽しみにしています。

No title

ダジャレって頭が柔らかくないと、なかなか思いつきませんよね。
こういう思考って無駄なようで、実はかなり重要だったりもします。

というわけで、僕も今後はラウンド時のダジャレにも磨きをかけるべく勉強させてもらいます(笑)

No title

■ヒカルさん
読んでいただきありがとうございますm(__)m

私、駄洒落のキレには自信あるんですが、アイアンのキレがねえ・・・
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